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産業用大麻可能性検討会の発足 その経緯 2013年3月

2013年3月15日の道議会予算委員会にて、 加藤礼一議員(自民党、旭川市選出)が質問したのがきっかけでした。質問内容は次の5点でした。


1)北海道における大麻栽培の歴史と現状
2)北見農試で実施された大麻の栽培試験について
3)北見の「産業用大麻栽培特区」への農政部の対応
4)北海道の畑作物としての産業用大麻の可能性について
5)外部有識者による検討会を農政部の主導で設置しては


農政部の回答(回答者)
1)開拓初期から戦前まで大麻を栽培。戦後は激減
   現在は北見の一件のみ(農産振興課長)
2)たまねぎの堆肥栽培による地下水の硝酸性窒素を吸収する能力が大麻が一番高かった   (技術普及課長)
3)地元北見市と協議したことは意義があったが、今すぐ支援できることは少ないと判断   (農産振興課長)
4)栽培条件が整った場合は、有用な畑作物となる可能性があるものと考えている
  (食の安全推進局長)
5)農政部として、外部の有識者を交えて、情報交換や議論する場の設置を検討したい
  (農政部長)  


大麻取扱者免許は道医療薬務課の担当ですが、畑作物として検討するので農政部が主導して産業用大麻の検討を始めることになり、日本国内においても画期的な出来事となりました。


産業用大麻可能性検討会がはじまる 2013年8月~


第1回北海道産業用大麻可能性検討会の開催

産業用大麻についての麻の実や食用油などの食用のほか、麻織物などの繊維、さらには、住宅用建材などの工業製品原料など、多様な用途に利用できるとされており有用な畑作物となる可能性があるが、所有や栽培、譲渡等が厳しく制限されていることや、大麻に対する道民世論を踏まえる必要があることなど、課題もあります。

このため、北海道内における産業用大麻の栽培について、情報交換や議論を行い、作物としての可能性を検討するため、「北海道産業用大麻可能性検討会」を設置します。

日時:平成25年8月8日(木)15:30〜
場所:本庁舎2階共用会議室
出席者:
 委員)(地独)北海道立総合研究機構 竹中企画調整部長
    生活協同組合コープさっぽろ  林理事
    (有)香遊生活        舟山社長
    (一社)北海道未来総合研究所 松井副理事長
    (一社)北海道薬剤師会    宮下常務理事
  道)総合政策部、保健福祉部、経済部、農政部


「産業用大麻 高まる関心、向精神作用なく用途多様」
「12月20日 札幌で第2回検討会」

北海道新聞 2013年11月14日 朝刊(旭川・上川版)


第二回は、平成25年12月20日に開催されました。

 北海道大学大学院農学研究院の大崎満教授から北海道における産業大麻の可能性という情報提供がありました。事務方からは栃木県の栽培状況と産業用大麻品種である「とちぎしろ」の譲渡についての説明がありました。栃木県と同じように北海道でも「とちぎしろ」の品種管理の仕組みが道の試験機関でできれば、100gの譲渡が可能との報告がありました。
また、道内唯一の栽培者である舟山氏からは下記の提案がありました。産業用大麻を普及・推進をしていくための乗り越えなければならない課題です。

産業用大麻可能性検討会向けて 提案議題

1.担当所管の移行の可能性について
 大麻・・・・・・カンナビス・・・・薬務課
 産業用大麻・・・ヘンプ・・・・・・農政課

2.種子の移入・輸入の可能性について・・・・1ヘクタールの栽培
 とちぎしろの移入・・・・道庁または市町村との共同管理
 フランスからのTHC成分ゼロパーセントの種子の輸入・・・厚生省令の変更

3.在来種(北海道内の自生大麻)の成分検査
 THC成分の確認
 自生大麻の有効利用

4.THC検査体制の確立・・・・種子の更新
 民間の自主管理・・・・大麻研究者免許、麻薬取扱免許
 道立衛生研究所、農業試験場などの管理体制

5.栽培地のネットフェンスの廃止の可能性について
 2.7メートルの盗難防止柵の廃止


●土曜は朝からのりゆきです 北海道HBCラジオ 
 2014年1月25日(土) 朝8時から「産業用大麻可能性検討会」松井座長(前北大農学 部長)がゲストコメンテーターとして登場しました。http://www.hbc.co.jp/radio/otona/index.html



北方ジャーナル  検討会の状況を道民目線で厳しくウォッチ!

2012年12月号から2013年2月号に、ルポライター滝川康治氏による産業用大麻の可能性(前編、後編、番外編)が掲載。


●姿消した作物が多様な用途で再注目
●免許交付にも厳しい道の対応に疑問
●免許申請に冷たい道の縦割り行政
●法律の見直しで産業化の促進を
●本道農業の一翼を担う新規作物に


発足した検討会の様子も引き続き北方ジャーナルが道民の目線でレポートをしていくことになっています。


北方ジャーナル公式ブログ
http://hoppojournal.sapolog.com/

2012年12月号 産業用大麻の可能性(前篇)
2013年1月号 産業用大麻の可能性(後篇)
    2月号 産業用大麻の可能性(番外編)
    9月号 産業用大麻を道の成長戦略に
   11月号 始まった「可能性検討会」試される北海道の”本気度”
2014年4月号 道庁は地域の動きに応えよ!
    5月号 取扱免許の交付と今後の課題
 
滝川康治の見聞録
http://takikawa.essay.jp/agri&food/
       
北海道の産業用大麻の議論と論点は、上記の「滝川康治の見聞録」に北方ジャーナルの産業用大麻に関する記事のバックナンバーがありますので、そちらをご覧ください。


北海道議会で産業用大麻に関する歴史的な質問と知事の答弁


 高橋はるみ北海道知事は、2014年3月5日の道議会において、広田議員(民主党・道民連合)の大麻取扱者免許審査における判断基準に関する質問に対して、栽培目的に繊維、食用生産を認め、「免許の審査においては、道庁内の関係部局と協議の上、総合的に判断したい」、との歴史的な答弁をしました。

これは、従来の、そして今回の保健...福祉部長の答弁で、「その栽培目的が伝統的な祭事での利用や栽培技術の継承など何らかの社会的有用性が認められるものでなければならない」という、平成11年1月14日付けの厚生労働省の通知を引用して道の審査の正当性を主張してきましたが、実は、この厚生労働省の通知では、伝統的な祭事云々の前に、「種子や繊維を農作物として出荷したり」との文言がしっかり入っているのです(栽培免許についてのページ参照)。

道の医療薬務課は、これまで、あえてこの部分を隠して説明したり、答弁したりしてきたわけで、今回、広田道議から、そこを突っ込まれてしまいました。知事の再答弁では、「種子や繊維を農作物として出荷したり」との文言を付け加え、繊維や種子の生産を目的とした栽培が社会的有用性があることを認めた訳です。保健福祉部のこうした意図的な情報操作に知事も不快感をもたれたのではないでしょうか。こうしたことを追求するのが、議会の役目であり、予定調和的な質疑などは必要ないということです。

広田道議の再質問のあと、知事と保健福祉部長、副知事の幹部が5分近くも相談しており、なかなか知事が登壇しませんでした。ここまで、保健福祉部を追い詰めた広田先生、本当にお疲れ様、そしてありがとうございました!これを契機に栽培免許審査の在り方が大きく変わることを期待したいと思います。


「平成26年北海道議会第1回定例会 広田まゆみ道議の産業用大麻に関する一般質問」で検索していただければ、上記4本を視聴できると思います。
産業用大麻に関する広田議員の歴史的な質問と、高橋はるみ知事の歴史的な答弁をご覧下さい。
広田道議の一般質問
http://www.youtube.com/watch?v=q7Iic_SWYhM

上記への保健福祉部長の答弁
http://www.youtube.com/watch?v=AnwwlSOTzuw

広田道議の再質問
http://www.youtube.com/watch?v=xmz7fTv3_EI

再質問への知事の再答弁
http://www.youtube.com/watch?v=u1WeY4a4uDM

(知事が登壇するまで5分ほどかかります。この間、答弁について幹部が協議している様子が画面左下に写っています。5分は長いです!)



産業用大麻可能性検討会の松井座長のまとめ  2014年3月


 検討会の様子

第3回北海道産業用大麻可能性検討会が2014年3月19日(水)15:30から、北海道庁2階の共用会議室で開催されました。松井座長から下記のような案が示され、了承されました。

<検討会のまとめ>

1.有用性については、穀物としての麻の実や食用油、麻織物などの繊維はもとより、住宅用建材など多様な工業製品のほか、土壌環境の改善やバイオマス資源としてもおおいに期待出来る。

2.一方、栽培上の課題については、薬物乱用防止との関連で慎重に対応すべきとの意見があり、こうした不安を取り除くことが必要である。
仮に無毒性品種を栽培しても、交雑による有毒化が懸念されるのであれば、何らかの検査体制が必要ではないか。

栃木県ではTHCの含有量ではなく「とちぎしろ」の品種としての純系が保たれているかについて、種子の増殖段階で検査しているが、野生大麻が多い北海道内では、栃木県と同様の検査をすべきか検討が必要ではないか。

3.道民の理解については、大麻の薬物としてのイメージが強く、無毒品種や活用事例についてほとんど知られていない中で、産業用大麻の有用性の周知を行っていくことが必要である。

また、薬物乱用の不安を払拭する上でも、THCを測る環境をしっかり作ることが道民の理解を得ることに繋がるのではないか。

4.いずれにしても、道内では近年栽培実績がほとんどないことから、当検討会としては、栽培に関する基礎的な知見の積み重ねが必要であるとの共通認識に至った。

5. 増殖を含め、種子の安定的な確保は、産業用大麻に限らず、全ての作物に共通する課題である。現在、種子を入手出来る可能性があるのは、栃木県の生育した無 毒性品種に限られており、導入した種子が北海道の気候・土壌の適応するか、育成や増殖の可能性に関する科学的知見の収集が、まずは必要となるのではないか。

6.このため、寒冷地である北海道において「とちぎしろ」の種子増殖の可能性を検討するため、試験研究用として譲渡を受け、育成試験を実施することを提案したい。

7.なお、民間の栽培事例についても、その育成に関する情報を収集するなど、知見の蓄積に努める。

8.こうしたデータを収集した上で、今後、道内の新たな農作物としての可能性について調査検討を進めていくべきである。



北海道庁に産業用大麻可能性検討会の報告書および資料がPDFで公開されています。
詳しくはこちらをご参照下さい。


北海道産業用大麻可能性検討会に関するホームページ